multicultural SF

笑いあり、涙ありのシャーマン・アレクシー

前に一度、シャーマン・アレクシーの本を紹介したことがあるのですが、この週末、別の本を読みました。

The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian

Sherman Alexie / Little, Brown Books for Young Readers



今度の主人公は14歳の少年です。生まれた時に脳にダメージがあり手術を受け、今でもいつてんかんの発作が起こってもおかしくない、という少年。ワシントン州のスポケーンに隣接するスポケーン族の保留区に生まれ育ちました。ほぼアル中の父親、昔アル中だった母親、祖母、姉の5人暮らし。保留区でのインディアンの生活のありさま(アルコールの問題や貧困など)を、少年の目から描きます。高校に入った1日目、彼はあることがきっかけで保留区の外にある、白人がほとんどの高校に転入することになります。

一気に読めてしまいました。前回読んだ"Flight"とは全く違う設定だけれど、泣かせます。ヤング・アダルト向けの小説なのですけど、さすが、思春期の少年の描き方がすごくうまいです。特にこの本では、主人公が話している(語っている)ように書いています。Flightではフォスター・ファミリーを転々としている主人公の設定だったので、家族のことがあまり書かれていませんでした。今回は家族のことがたくさん書かれています。そして、書かれている内容は深刻な問題もあるけれど、ユーモアがいっぱいあって、いっぱい笑いました。インディアン・ジョークとでもいいましょうか。

例えば、主人公が感謝祭の時に、「インディアンは一体何に感謝するの、お父さん?」と聞きます。
お父さんは「(ピルグリムたちが)俺たち全員を殺さなかったことに、だよ」
これは、声を出して笑ってしまいました。

他には、小さい時の話で、飼っていた犬が死にそうになっていたときに、お母さんが主人公に「大丈夫よ、元気になるわよ」と言います。でもそれは嘘だ、とすぐに分かってしまいます。本当にうそがつくのが下手な母さんだ、と思うのですが、そのあとに"We Indians really should be better liars, considering how often we've been lied to."と続きます。
うーん、とうなってしまいました。

この話の中にも、保留区の問題が描かれています。いろんな根深い問題を、日々の生活の側面から、ユーモアを交えて描いています。

主人公は、白人の居住区に行き来するようになって、保留区から出る、ということによって、自分や周りに変化を見つけます。保留区を出る、とはどういうことなのか。同じ部族に対する裏切りなのか、それとも自分の可能性を広めていくための手段に(本当に)なるのか。タイトルのPart-Time Indianは、中途半端なインディアン<自分はインディアンなのか、それとも白人になりたいインディアンなのか>という葛藤を表しています。

日本語訳も出ているようです。題名がこれだと、英語のPart-Time Indianのニュアンスが伝わりにくいです。

はみだしインディアンのホントにホントの物語 (SUPER!YA)

シャーマン・アレクシー / 小学館



そうそう、この本は、たくさんイラストも付いていて、それもとてもいいです。
英語を勉強している高校生~大学生だったら、原書でぜひ読んでほしいです。文章も分かりやすいですし、視覚的な書き方がとても工夫されています(話し口調なので、強調するところが斜体になっていたり、大文字になっていたりします)。
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by hanasmilesf | 2010-06-02 14:05 | random thoughts

randam thoughts and journals from Kyoto~サンフランシスコから日本に戻ってきました~Coming full circle


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