multicultural SF

アジア系アメリカ人と白人の関係(先日の話の続き:追記あり)

この前のお話の続きでもあるのですが、アジア系アメリカ人のアイデンティティを考えたとき、これはほかのマイノリティでも言えることですが、自分たちが自分でアイデンティファイするアイデンティティと、非アジア系(特にメインストリームである白人)がアイデンティファイするアイデンティティとのギャップがあることが多く、「モデルマイノリティ」に象徴されるような、メインストリームによって付けられた(ラベル付けされた)アイデンティティイメージ、というのがあります。

例えば、ある人は、「自分はアメリカ人だ」と思っていたとします。

でも、白人から見られる「自分」は「アジア人」であったり「中国人」であったり「ベトナム人」であったり「インド人」であったり「日本人」であったりします。このとき、ついでに「中国語を話す中国人」という「言葉」に関するexpectationあるいはステレオタイプも付いてきます。たとえ本人が英語しか話せなくても、です。

このギャップはどこから来るのか、というと、白人が持っている偏見とか思い込みというわけですが、その偏見や思い込みはどこから来るのか、というと、テレビや映画で見るアジア人、というのがほとんどでしょう。アメリカ生まれのアジア系アメリカ人が、知り合った人に「英語うまいね」と言われたりするのは、本当の話です。

こういう時、白人のほうは自分が偏見を持っている、という意識はほとんどないんだと思います。もっと大きい見方をすると、そういう考えを持つようになるのは、十分に情報を与えられていない環境(学校教育であったり、メディアであったり)のせいだとも言えます。あるいは、そういう考え方を持てる、という特権を与えられていることをほとんど意識せずに「当たり前のこと」として受け入れられる環境もあるでしょう。そしてまず、自分の持っている「特権」とは何か、というのもほとんど意識したことがないんだと思います。(これは、日本でもアメリカでも、同じことが言えます。マジョリティが自分の特権に気付く、というのは、マイノリティと接して、比べてみて、初めて気づくものだと思います。追記:この話は、ホワイトネスにつながっていきます。)ついでに言うと、Beau Siaが指摘していた部分も、ここに少し関係しています。自分が育ってきた「文化」「世界」とは違うものと接したとき、初めて自分とは違うそれを持っている人がいるんだ、と気付くものの、今までの自分のそれが「正しい」「普通の」ことであると信じているため、拒絶したり、恐れてしまったりする。(あるいは自分の価値観から見てどうか、という判断しかできない。)

非白人のほう(この場合、アジア系)は、だから、白人の価値観や文化に常に合わせなくてはいけない、ということになる。そうでなければ「非常識」と言われたり差別や排除の対象になるからです。

「アメリカのマナー」とは、誰のものか?誰によって決められているものなのか?「アメリカのマナーを守る」のは、誰なのか?では、「守らない」のは誰か?

少し話がそれますが、70年代のアジア系アメリカ人の学生運動で活動していた日系3世たちは、親の世代(2世)によく"Keep a low key"と注意されていたそうです。目立つな、面倒は起こすな、と。アメリカ社会の中で常にgood citizenでいることを意識してきた2世と、声を上げ始めた3世のギャップは、この運動の中でも生まれていました。

今の若いアジア系世代は、まだメインストリームから押し付けられるステレオタイプに悩みつつも、だんだんそれから自由になりつつあるのでは、とも思います。

メインストリームによって押し付けられる「アメリカのマナー(や価値観)」という壁を破ろうとし、乗り越えようとした3世とはまた違ったアプローチで、自分たちのイメージを作ろうとしている。インターネットは、その上で大きな役割を果たしている、というわけです。誰からも押し付けられない自分たちのイメージを作り出すことの爽快さ。ここから白人との関係がどう変わっていくかは、まだ未知数ですが、いろんな可能性を含んでいるのでは、と思います。

<関連記事>
自分たちをreproduceすることの面白さ
自分たちでイメージを作っていけるということ

<追記>
少し関連があるので、ビデオクリップを載せます。
ホワイトハウスのAAPIラウンドテーブルで行われたビデオ。特に教育関係、なかでも教師を目指している高校生を対象に行われたものだそうです。パネリストのなかでもClara Chung(Clara C)とDavid ChoiはYouTubeで自分たちの曲をアップしているシンガーソングライターでもあります。Clara Cが先生をしているのは知りませんでした…。教えることも、音楽も、両方が彼女のパッションなんですね。

長いクリップですが、41分あたりでモデル・マイノリティの話をしています。高校生向けなので、とても分かりやすく話されています。また、そこから発展して「アジア太平洋系アメリカ人が特に歴史教育の中に含まれてこなかった、ということも触れられています。


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by hanasmilesf | 2011-04-09 15:32 | multicultural topic

randam thoughts and journals from Kyoto~サンフランシスコから日本に戻ってきました~Coming full circle


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