multicultural SF

アメリカのモン族

2つ前の記事に、モン族の女の子の本の話を書きました。
モン族(こゆきさんがググって下さったりソース)で、大体のことは分かると思いますが、どうしてアメリカに住んでいるのか、という説明を少ししたいと思います。

モン族はもともと、ラオス・ベトナムの山岳民族です。起源は中国の苗(ミャオ)族で、中国の漢の時代に国をおわれてラオス・ベトナムにやってきた、といわれています。

ベトナム戦争時、アメリカCIAは、モン族を秘密裏に訓練し、傭兵として雇い、ラオス・ベトナムの共産勢力と戦わせました。泥沼化するベトナム戦争で、何千人ものモン族兵士が雇われたのは、当然、安く済むからでした。

アメリカがベトナムを撤退したあと、アメリカに加担したモン族は当然、危険にさらされることになります。一部のモン族はアメリカ軍の助けによってアメリカに逃れることができましたが、多くはタイの難民キャンプに逃れていきました。このタイの難民キャンプからまた、多くのモン族がアメリカにやってくることとなります。モン族の移民は1980年代から90年代にかけて続きました。

アメリカのモン族の多くは、カリフォルニア州フレズノ(とその近辺)、ミネソタ州・ウィスコンシン州に住んでいます。難民なのでほとんどが福祉に頼っています。彼らが持っている多くの<問題>は、ラオスにいたときは問題ではないことばかりでした。

まず、モンには「書き言葉」がありません。アメリカにやってきたモンたちは英語を話せない人がほとんどでしたが、英語を勉強するにも、まず文字が何かというところからはじめないといけません。下で紹介した本では、Liaのお母さんが、病院でもらってきた薬の処方箋が読めず、そして時計も読めないので「何時にこの薬を飲む」ということができないところでまず問題になります。

アメリカにいるモン族はクリスチャンの人も多いのですが、もともとシャーマンといって、精霊信仰で、いろんな儀式に動物をいけにえにすることがあって、それがアメリカではあたかも原始人のように捉えられたり、そうでなくとも様々な誤解を生んでしまうことがあります。(例えば、豚の丸焼きが冷蔵庫に入れてあって、それを見たアメリカ人が犬の丸焼きだと勘違いしてそれがそこのアメリカ人全体に広まってしまった、とか。)基本的に、モンでは病気はスピリチュアルなものが原因と考えられます。

もともと、早婚・多産の民族で、10代で子供を産むのは当たり前・平均の出生率は8人~12人。でも農耕文化を継続できないアメリカで、しかも10代の妊娠は好まれないアメリカでは、この家族形態はとってもうきます。もちろん、最近ではこの傾向は減ってきています。

現在、こういった<問題>の多くは、改善されていると思います。というのは、難民としてやってきた世代から、徐々にアメリカ育ち(アメリカ生まれ)の世代に代わってきているからです。この世代は、アメリカで教育を受け、大学に進んでいる人も少なくありません。ミネソタではモン族の女性連邦議員も誕生しました。Refugeeから、Hmong-Americanへと変わりつつあるのだと思います。

しかしまだ、学校に通う子供たちの、親の世代では、教育を受けていない人も少なくなく、もともと文字を持たない民族の家庭で、例えば宿題を親に教えてもらうとか、そういった<当たり前のこと>ができない子供たちもまだたくさんいます。そのような子供たちへのヘルプとして、ボランティアでアフタースクールプログラムがあり、私はミネソタでそのボランティアをしていました。

モン族同士、かたまって住んでいる分、かなりコミュニティーがしっかりしていて、お互いに支えあっているのだなという感じを受けました。

2年ほど前、モン族の若者の間で自殺の割合が増えているというのがあったのですが、幼いときの戦争のトラウマ・あるいは親から受け継いでしまったトラウマが、ひょっとしたら関係しているのかも・・と思いました。90年代には、モン族の男性の欝の割合がものすごく高かった、という記事を読んだことがあります。全く違う環境での生活で、言葉も分からず、家庭での権威もなくなり、欝を患う人が多かったらしいです。

話を少し変えて。

ミネソタにいたとき、モン族の食事を食べる機会がありました。ちまきや赤飯など、また春巻きのようなものなど、日本や、中国(あるいはベトナム?)の食べ物とよく似ていて、あ~アジア人だな~と思ったのを覚えています。

モン族の人は日本人の私にとても親近感を持ってくれる人が多かったです。顔も、モン族と日本人はよく似ているので、よくモンの子供からAre you Hmong?と聞かれました。

モン、といえば刺繍、で、服の刺繍だけでなく物語も刺繍でつづっていきます。小学5年生くらいの女の子が刺繍をしていて、Can you sew?ときかれ、ううん、と答えると、You're supposed to know how to sew!といわれました。モンの文化を背負う子供たちの、頼もしい言葉でした。
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by hanasmilesf | 2005-09-01 15:28 | multicultural topic

randam thoughts and journals from Kyoto~サンフランシスコから日本に戻ってきました~Coming full circle


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