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乱雑に思ったことを、話がいろんな方向に行きつつ

母とのメール。(あ、母の日でしたね。すっかり忘れていたので言いそびれてしまいました。この場をお借りしてお母さんありがとう。)

で、全然話は違いますが、先日のフィリピン人看護師・介護福祉士候補が来日したことに関連して、日本の移民に関することが某テレビで話題になっていたらしい。母は「いろんな意見があるんだなあ、と思いながら見ていた」と話してくれた。人手不足が深刻な医療や介護の現場。しかし、政府の方針や政策と現場がかみ合っていない。ことばの壁もある。いろんな難題がある中で、それでも日本で働いてみようとやってきた人達。そういう人たちに対しての「日本語のサポートが必要」という意見には、母は少し違和感を感じたようだ。「その国へ行って働こうとするなら、最低限その国のことばは学んでから・・・」と。もちろん今回来た人達は事前に研修期間を経てから来ているし、報道によるとまだ研修期間は続くようで日本の国家試験を合格しなければならないらしい。確か、この国家試験も外国からの受験者に対してどこまで配慮した試験をするのかが問題になっていたような気がする。
日比EPA:看護師・介護福祉士の候補、比から270人来日
日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づき、フィリピン人の看護師・介護福祉士候補者の第1陣約270人が10日午後、成田空港などに到着した。候補者は全国5カ所の施設で半年間の日本語研修を受けた後、病院や介護施設で仕事をしながら日本の国家試験合格を目指す。今回受け入れるのは、看護師候補者92人と介護福祉士候補者188人の計280人で、残る候補者は月末に来日の予定。外国からの受け入れは、インドネシアに続き2カ国目。
私は、母が感じた違和感も十分に理解できる。できるが、まるまる賛成はできない。とても微妙な問題だと思う。看護師・介護福祉士に関して言えば、もちろんことばの壁が出てくるだろうし、制度的・技術的な面からいっていろんなレベルでの違いや誤解から来るトラブルがあるかもしれない。また、日本人の差別や偏見といった汚い部分がもっと表面化してくると思う。ひょっとして心の壁の方が厄介かもしれない。法律的にも、もっと具体的に踏み込んだ差別に対する制度が出てこないといけない。が、それはもうちょっと時間がかかるだろう。

看護師・介護福祉士という職業は、命に関わることなので、きちんとした専門知識や経験があるということが一番のポイントだと思う。そこにことばの壁がどのように影響してくるのか。差別、偏見がどのように関係してくるのか。職場でのコミュニケーションが患者や利用者に与える影響・・・、など、実際にはじまってみないと分からない問題もある。

日本語に対するサポート。これは、受け入れる、と決めたからには、受け入れる側にやはり責任があると思う。(日本で働きたいと思って日本に来て、日本語を学ぶ気がまったくないJETのAETを見てきているので、その問題とはちょっと切り離して考えたい)ただし、サポートといってもいろんなレベルがある。読み、書き、などの言語的スキルはまだよくても、専門用語をつかう現場での実践的な日本語、また患者や利用者と接するときの日本語、生活で必要なサバイバルな日本語、それに加えて施設や行政のシステムの理解など・・・。こういったサポートを例えば行政機関(市役所なんかの日本語教室とか)一つだけではもちろんできないし、足りない。

文化の違いによる軋轢や誤解からトラブルもあるだろう。しかしこれは、ただ単に「お互いの文化を理解しましょう」というような生易しいレベルでは済まされないだろう。JETのAETは完全に「お客さん」だけど、この場合はそうではないし、日系人労働者が働いていた工場ではあまりことばが問題にならなかったかもしれないけれど、今回はことばは一番最初の課題になるだろう。でも一番教育が必要なのは、「受け入れる側」ではないかとも思う。行政が、とか受け入れる施設が、とかそういうレベルでもだし、そういう施設を利用する個人個人もだ。もう一つついでに言うと、フィリピンという国の複雑な事情、移民排出国であること、どうしてそうなったのか、どうして今もそうなのか、また日本がどれだけのフィリピンからの移民を受け入れてきたかということ(エンターテイナービザ)、またそれに対して日本政府がどのように対応してきたのか、ということ、さらには歴史的な関係、をもう一度考えてみたい。
by hanasmilesf | 2009-05-12 04:05 | random thoughts

randam thoughts and journals from Kyoto~サンフランシスコから日本に戻ってきました~Coming full circle


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